中小機構

FAQ

高度化資金は他の制度融資と何が違うのですか?

高度化事業は、国の中小企業政策と都道府県の産業政策に基づき、国と都道府県が共同して実施する政策性の極めて高い融資です。そのため、他の制度融資には通常見られない
1. 無利子を含む有利な貸付条件
2. 融資と高度化事業に対するコンサルティングが一体となった支援
3. 税制上の優遇措置
4. 都市計画法上の優遇措置(市街化調整区域の開発許可) 等を一体的、総合的に提供する中小企業支援施策です。

最近実施されている高度化事業はどのような内容の事業ですか?

ここ2~3年の融資案件の特徴は、

1. 工場団地関係の高度化事業が多くなっております。

特に海外市場での成長が続く製造業やグローバル展開のなかで国内の生産体制の再編成に取り組む製造業の関連企業を中心に、設備投資の動きが活発となっております。例えば、自動車や建設機械等の関連企業の高度化事業です。
また、緩やかな景況拡大のなかで、製造業の設備投資の活発化と工場適地の確保難が生じており、新たに工場団地を造る計画と、既存の工場団地で組合員工場の拡張、建替え、新規設備の導入等の計画が並行して進行しています。

2. 物流関連の設備投資も活発化しています。

流通業やメーカーの物流業務はアウトソーシングが進展しています。他方で、物流業務においては在庫削減、リードタイムの短縮、CO2削減に代表される環境問題への対応など高度なオペレーションが求められ、物流施設も高いレベルの機能が必要となります。
このため、トラック運送業や倉庫業など物流業務に携わる中小企業の方々が事業の共同化や集約化により自動倉庫、温度帯別保管庫、ピッキングシステム、流通加工施設等を備えた共同物流施設を整備する動きが活発化しています。
また、CO2削減等に対応したトラック車両の共同購入(設備リース事業)計画も動き出しています。

高度化資金は借入までに時間がかかると言われていますが?

1. なぜ、時間がかかるのか

時間がかかるのは、高度化事業が個別企業単独の設備投資でなく企業グループ共同の設備投資となるからです。すなわち参加企業の確定、事業構想の合意形成、用地確保など事業計画を固めるまでのプロセスに時間を要する場合が多いからです。 借入申込から貸付実行までの諸手続きは短期間での対応が可能です。従って、事業計画が固まっていれば比較的短期間での資金の貸付実行が可能です。

2. 実際には

都道府県に事業計画書を提出してから、事業計画の診断、(必要に応じ)計画書の修正、事業計画の認定すなわち施設工事の着工のゴーサインが出るまで平均約2ヶ月弱となっています。  最近の事例では、高度資金活用の相談を受けてから、「事業計画書作り~事業計画の診断~事業計画の認定~事業施設の取得~大幅な増改築工事~竣工~高度化資金の貸付実行」までを約10ヶ月程度で実行しています。

3. 都道府県担当課との事前の相談がポイント

なお、高度化資金の貸付に当たっては、通常都道府県が貸付原資の予算化を行なう必要があります。従って、都道府県の予算化スケジュールと高度化事業のスケジュールの同期化が重要なポイントとなります。予め、都道府県担当課と相談し、充分に話し合いを行なうことが重要です。

高度化資金を借りるには事業計画書の作成がたいへんと言われていますが?

1. 高度化事業では事業計画書がなぜ重要か

高度化事業を成功させるには、しっかりした事業計画書の作成が極めて重要となります。 特に、新たに高度化事業に取り組むうえでは、参加メンバーが事業計画作成の共同作業を通じて参加者各自の高度化事業にかける期待、思いをすり合わせ、事業に取り組むベクトルを共有することが可能となります。 高度化事業計画書の作成プロセスには、「事業構想」を取りまとめるステップと構想を「事業実施計画書」に落とし込み、計数や設計図面で具体化していくステップがあります。

2. 事業構想とは

事業構想を取りまとめるステップは、何を目的に、だれがメンバーとなり、どのような事業形態で、何を行なうか、高度化資金の返済原資はどこで生み出すか、すなわちビジネスモデルを明確化していくことが主要な内容を占めてきます。特に、共同施設事業、施設集約化事業など組合員企業が実施している事業の一部または全部を共同化や協業化(事業統合)していく形態の高度化事業では極めて重要なプロセスです。また、集団化事業ではどのような団地を作っていくのか、特に団地参加企業のメンバー構成をどうするのか、どのような集積の効果を作り出していくのか、が重要となります。

3. 事業実施計画書とは

「事業実施計画書」を作成するステップでは、設備投資計画を施設図面と投資金額で具体化し、投資金額に対応した資金調達計画を固めていきます。資金調達のなかで借入金を返済していくためには返済原資の確保が可能かどうかを確認していく作業が事業計画作成の中心となります。例えば、組合が返済する場合、組合の事業収入は何を充てるのか。組合員よりの賦課金収入か、組合の事業収入か、その収入は確実に確保できるか。組合員が自社借入相当分を返済していく場合、事業収益を将来にわたり確保できるのか。

4. アドバイザーの活用がポイント

こうした事業計画の作成をサポートするため、機構では企業連携支援アドバイザーを派遣し、アドバイザーが事業構想の検討作業に参加し、よりスムーズにとりまとめを進めるようアドバイスを実施していきます。また「事業実施計画書」の作成においては、計画書作成方法のアドバイス、実現可能な計画かどうかの検証作業を事業参加メンバーとともに行い、必要な計画修正のアドバイス等を行なっていきます。 個別企業でなく企業グループの事業計画作りとなりますので、高度化事業の事業計画作成は始めて経験する方には戸惑うところもあるかと思われます。そこで、経験豊かなアドバイザーが計画作りに参画することにより、事業計画作成の負担を軽減し、事業計画作成期間の短縮をサポートする仕組みを用意しています。なお、企業連携支援アドバイザーのご利用は無料です。

高度化資金を借りるには連帯保証が求められると聞いていますが?

高度化事業は、参加する中小企業者が一体感を持って共同して事業に取り組んでいくことが事業の最大の特徴です。このため、制度が発足した初期の時点から高度化資金の貸付に当たっては、貸付対象先の高度化組合に対して債権保全策として貸付対象の土地、建物等の物的担保とともに組合理事あるいは組合員に組合借入に対する連帯保証人となることを求めております。
最近も高度化組合への貸付には、組合役員や組合員の連帯保証人を求めるケースが多く見られます。しかし、他方では、連帯保証人に支払い不可能な過度な負担を負わせるのは現実的でないとの認識も広がっています。そこで、現在は、連帯保証の負担を軽減するため、連帯保証のとり方を一律でなく、数タイプ用意し、貸手側が選択できるようにしています。
具体的には、
1. 組合貸しでなく組合員貸しが可能なケース(例えば、工場団地の組合員施設への貸付)では、組合員を借り手とする
2. 組合貸しとする場合も保証人各自の保証額を借入額総額でなく限定された保証額とする「限度額連帯保証」の導入
3. 組合貸しでの従来型の連帯保証
と基本的には3つのタイプを設定しています。

過去に高度化事業を実施した組合ですが、施設のリニューアルを検討しています。
もう一度高度化資金を利用することが出来ますか?

可能です。過去に高度化事業を実施した組合が事業の発展に対応し施設の新・増設等拡張する場合や施設の老朽化に対応し施設の建替え、改修等により職場環境の改善や生産性の向上等を図る場合に、再度高度化資金の利用が出来ます。
2度目以降の高度化資金の利用に際しては、当初の利用と同様に、それぞれの制度要件を備えていることが必要となりますが、利用回数、借入金額、次回利用までの期間等に特段の制限はありません。
過去に、高度化資金の需要が多く全ての需要に対応できず、新規の高度化事業を優先し2度目以降の貸付を限定したことがあるため、再度の利用が制約されているという誤解がまま見られます。

高度化資金は組合員1名でも利用することができると聞きましたが、
どのようなケースにおいて利用することが可能なのですか?

高度化事業は、団地、共同施設等の事業毎に参加する中小企業者数の員数要件が決まっています。組合員1名でも利用可能なケースとは次の場合が該当します。
1. 高度化資金を活用して建設した団地において、新たな中小企業者が組合に加入し、団地へ移転をする場合
2. 同様に既存の高度化団地において当初の集団化事業で一部移転を行なった組合員が、残りの事業部門を団地に移転する場合
3. 組合員の団地外への移転や倒産等により生じた空区画を既存の組合員が取得し施設の拡張等を行なう場合
これらのケースでは、当該団地が組合員数など集団化事業の要件を満たしていれば、組合員1名のみの設備投資でも当初の集団化計画の変更として扱い、高度化資金の対象となり利用が可能となります。

施設等の整備の際に、既存施設を撤去する必要がありますが、
高度化資金の対象になりますか?

高度化事業を実施するうえで、既存施設等の取壊しが必要な場合であって、当該取壊し費用を新たな施設の整備資金に含めて資産計上する場合は、貸付対象になる可能性があります。