施設集約化事業とは
個々の企業では解決することが難しい課題を抱えている中小企業者が、組合や会社を設立し、ショッピングセンターや共同工場など、主に一つの建物を整備運営することで経営の合理化につなげる事業です。比較的予算規模の小さな事業にも活用でき、産業振興や地域のにぎわいの創出が期待できます。これまでに約950組合に活用されています。

共同化形態の主な要件
(1)事業実施主体
実施主体は、次の組合等又は会社です。
- 事業協同組合、事業協同小組合、協同組合連合会
- 出資会社
(※)事業実施主体の計画に基づき事業を実施する組合員等が貸付けの相手方となることができます。
(2)事業の実施
組合員等又は出資者は、組合等又は出資会社が作成する共同化計画に基づいてそれぞれ事業を行わなければなりません。
(3)建物の整備
主として一の建物を整備し、組合員等又は出資者のすべてが当該建物においてそれぞれ事業を行うことが必要です。
(4)組合員等又は出資者の数
1.組合等の場合は、組合員等の数が4人以上必要です。
2.出資会社の場合は、出資をしようとする特定中小事業者の数が4人以上必要です。
(5)中小企業者の割合
組合等の場合は、組合員の3分の2以上が特定中小事業者等、出資会社の場合は、出資者の3分の2以上が特定中小事業者でなければなりません。
(6)出資割合
出資会社が実施主体の場合には出資者である特定中小事業者は、出資会社の発行済み株式総数又は出資総額の3分の2以上を所有する必要があります。
(7)適切な共同事業の実施
組合等又は出資会社は、組合員等又は出資者の経営の合理化を図るための共同事業を実施する必要があります。
(8)利用面積割合
特定中小事業者等である組合員等又は出資者の行う事業に利用する建物の床面積の合計が、組合員等又は出資者の行う事業の共同の用に供する床面積の3分2以上でなければなりません。
なお、当該利用面積の算定にあたっては、みなし大企業の利用する面積は除きます。
(9)組合員等以外の利用面積割合
組合員等以外の者に施設の一部を利用させることが合理的運営に資すると認められる場合は、組合員以外の者の利用する建物延べ床面積の合計が、組合員等の利用する建物延べ床面積の20パーセント以内まで認められます。
(10)貸付対象施設
貸付けの対象となる施設については、土地、建物、構築物、設備であって、資産計上されるものです。
ただし、組合員等又は出資者以外で大企業が利用する部分は、貸付けの対象となりません。
事業統合形態の事業の主な要件
(1)実施主体
実施主体は、次の組合又は会社です。
- 協業組合
- 合併会社、出資会社
(2)事業の実施
組合又は会社は、協業化計画に基づき、当該建物において統合した事業を共同経営しなければなりません。
(3)建物の整備
主として一の建物を整備しなければなりません。
(4)組合員数又は出資者数
1.協業組合の場合は、組合員の数が4人以上要です。
2.合併会社又は出資会社の場合は、合併又は出資をしようとする特定中小事業者の数が4人以上必要です。
(5)中小企業者の割合
組合員及び合併又は出資をしようとする者の3分の2以上が特定中小事業者でなければなりません。
(6)出資割合
合併会社又は出資会社が実施主体の場合には、合併又は出資をしようとする特定中小事業者は、合併会社又は出資会社の発行済み株式総数又は出資総額の3分の2以上を所有する必要があります。
(7)協業組合、合併会社又は出資会社以外の者の利用面積割合
協業組合、合併会社又は出資会社以外の者に施設の一部を利用させる場合は、これら以外の者の利用する建物延べ床面積の合計が、協業組合、合併会社又は出資会社の利用する建物延べ床面積の3分の1以内まで認められます。
(8)貸付対象施設
貸付けの対象となる施設については、土地、建物、構築物、設備であって、資産計上されるものです。
ただし、協業組合、合併会社又は出資会社以外の大企業が利用する部分については、貸付けの対象となりません。
(9)貸付条件
税制措置
(1)地方税
事業所税の非課税
活用事例
協同株式会社アスキー(静岡県浜松市)
経営を合理化するだけでなく、地域産業も育成
自動車部品等のメーカー企業5社が、公害問題への対処や、親会社からのコストダウン・品質向上等の要望に答える ために出資会社を新設した。経営が合理化したのはもちろんのこと、各社の技術を持ち寄ったことで経営基盤が強化。産業振興の面の効果も生まれている。

協同組合宮古市魚菜市場(岩手県宮古市)
高度化事業を用いて、「市民の台所」をリニューアル
宮古市の中心市街地のほぼ中央に位置する「宮古市魚菜市場」は、昭和42年に協同組合を設立。翌年には、高度化事業を利用し、現在の駐車場部分に新市場を開設し、宮古市民の胃袋を満たしてきた。平成7年には、再度、高度化事業を利用して、現在の位置に新たに市場を建設。その後20年以上の時間が経過する中で、施設の経年劣化、組合員の高齢化等による脱退、そして東日本大震災が発生するなど、施設のリニューアルの必要性が生じていた。
中小機構専門家のアドバイスを受け、再度、高度化事業の利用を計画。空調施設の導入や核店舗の誘致、キャッシュレス化などによる利便性の強化、LED照明の導入などによる省エネルギー化を進めるなど、新たな共同店舗にリニューアルした。
リニューアルにより、市場から地域特産品の販売拠点へと転換した「宮古市魚菜市場」。施設内には、購入した魚介類等を直ぐに食べられるBBQコーナーや、地元農産品の直接販売を行う生産者売場を設置しており、地域の拠点として、さらなる発展が期待される。
